会社を辞めたエンジニアがフリーランスになったらやるべき10のこと
会社員としてエンジニアを続けてきたけど、「もっと自由に働きたい」「収入を上げたい」「スキルを活かして独立したい」──そんな思いでフリーランスとしてのキャリアを選ぶ人が増えています。
でも、いざ会社を辞めてみると、多くの人がこう思います。
「さて、まず何すればいいんだっけ?」
開業届、保険、税金、案件探し…。ネットにはいろいろな情報がありますが、「エンジニアが独立直後にやるべきこと」に絞って整理された情報は意外と少ないのが現実。
そこでこの記事では、エンジニアが会社を辞めてフリーランスになったら最初にやるべきことをわかりやすく解説します。
これから独立する人にも、すでに辞めたばかりの人にも役立つ、実践的なガイドとしてご活用ください。
目次
1.開業届を出す【最初の一歩】
フリーランスとして活動を始めるには、まず税務署へ「開業届」を提出しましょう。これは「自分は事業を始めました」と国に届け出る手続きで、これを出して初めて”個人事業主”になります。
特に、青色申告承認申請書も一緒に出しておくと、65万円の控除や赤字繰越などのメリットが受けられるのでおすすめです。
提出は紙でもOKですが、最近は freee開業 や マネーフォワードクラウド開業 を使えばオンラインでサクッと完了できます。
✅ ポイントまとめ
・開業届は退職後すぐでも、案件開始後でもOK
・青色申告もセットで出すのが基本
・freeeなどの無料ツールで10分〜15分で完了
2. 国民健康保険・年金の切り替えを忘れずに
会社を辞めたら、社会保険(健康保険・厚生年金)から外れるため、自分で健康保険と年金に加入し直す必要があります。
健康保険の選択肢は2つ
- 国民健康保険に加入する(自治体の窓口で手続き)
- 任意継続被保険者制度を使う(今の保険を最大2年継続)
任意継続は「保険料が安い」「出産手当金などが継続される」メリットがある一方、自治体によっては国保の方が安くなるケースも。見積もりは両方とって比較するのが吉です。
年金は原則「国民年金」へ
厚生年金から国民年金に切り替えます。保険と同じく、退職後14日以内に手続きするのがベスト。
所得が少ない場合は「免除申請」も検討できます。
フリーランスの老後資金対策も早めに検討
会社員と違い、フリーランスは厚生年金がなくなるため、老後資金の上乗せを自分で準備する必要があります。以下の3つの制度は、いずれも節税メリットがあるので早い段階で検討しておきましょう。
- 付加年金:月額400円を上乗せするだけで、2年で元が取れるお得な制度。国民年金と一緒に加入可能
- 小規模企業共済:フリーランスの”退職金制度”として人気。掛金は月1,000円〜70,000円で全額所得控除
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税。フリーランスは月68,000円まで拠出可能
特に付加年金と小規模企業共済は手続きもシンプルなので、開業届と合わせて検討するのがおすすめです。
✅ ポイントまとめ
・健康保険と年金はセットで切り替え手続き
・退職日から14日以内が原則だが多少のズレはOK
・付加年金・小規模企業共済・iDeCoで老後資金と節税を両立
・必要書類:退職証明書/マイナンバーカードなど
3. 税務・確定申告について最低限の知識を持つ
フリーランスになったら、自分で確定申告をして税金を納める必要があります。
「確定申告」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、実際は次の3つを意識しておけばOKです。
- 収入(売上)と経費を毎月記録する
- 帳簿を作成する(会計ソフトで自動化可能)
- 翌年3月までに申告・納税する
特に、エンジニアの場合は経費にできる範囲が広いのも特徴。PC代・サブスク・書籍・通信費などが対象になることもあります。
最初は「freee」や「マネーフォワードクラウド」などのクラウド会計ソフトを導入しておくと、かなり安心です。
電子帳簿保存法への対応も忘れずに
2024年1月から、電子取引のデータ保存が完全義務化されています。メールやクラウドサービスで受け取った請求書・領収書などは、紙に印刷するだけではなく、電子データのまま一定のルールに従って保存する必要があります。
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトは電子帳簿保存法に対応しているので、最初から導入しておけば特別な対応は不要です。
✅ ポイントまとめ
・フリーランスは確定申告が”義務”になる
・毎月の売上と経費を記録するクセをつけよう
・会計ソフトの導入が最初の投資としておすすめ
・電子取引データの保存義務にも対応しておこう
4. インボイス制度への対応を決める
2023年10月にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、フリーランスエンジニアにとって避けて通れないテーマです。
ざっくり言うと、「適格請求書(インボイス)を発行できないと、取引先が消費税の仕入税額控除を受けられなくなる」という制度。つまり、インボイスを発行できないフリーランスは、取引先から敬遠される可能性があります。
免税事業者 vs 課税事業者、どちらを選ぶ?
年間売上が1,000万円以下のフリーランスは「免税事業者」ですが、インボイスを発行するには課税事業者になる必要があります。判断のポイントは以下の通りです。
- 取引先が法人中心 → 課税事業者になってインボイス登録するのが無難
- 個人向けの仕事が中心 → 免税事業者のままでも影響は少ない
- エージェント経由の案件が多い → エージェントの方針を確認(多くはインボイス登録を推奨)
2割特例を活用しよう
免税事業者からインボイス登録をして課税事業者になった場合、2026年9月30日を含む課税期間まで「2割特例」が使えます。これは、納める消費税を売上にかかる消費税の2割だけにできる簡易的な計算方法で、届出も不要。負担を大幅に軽減できるので、対象者は積極的に活用しましょう。
✅ ポイントまとめ
・取引先が法人中心ならインボイス登録を検討
・2割特例で消費税の負担を大幅に軽減できる
・免税のままか課税事業者になるか、取引先との関係で判断
5. フリーランス新法を知っておく【2024年11月施行】
2024年11月に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称:フリーランス新法)は、フリーランスとして働くすべての人に関わる重要な法律です。
この法律により、発注者(企業)側に以下のような義務が課されました。
- 契約条件の書面明示:業務内容・報酬額・支払期日などを書面(メール等含む)で明示する義務
- 報酬の支払い期日:成果物の受領日から60日以内に支払う義務
- ハラスメント防止:フリーランスに対するハラスメント防止措置を講じる義務
- 不当な取引条件の禁止:一方的な報酬減額、成果物の受領拒否、不当な返品などの禁止
フリーランス側としては、「自分を守るための法律ができた」ことを知っておくだけでも大きな意味があります。契約書や発注書を受け取っていない場合は、遠慮なく発注者に書面の交付を求めましょう。
トラブルが起きた場合は、フリーランス・トラブル110番(第二東京弁護士会運営)や公正取引委員会に相談することもできます。
✅ ポイントまとめ
・フリーランス新法により、契約書面の交付・60日以内の支払いが義務化
・契約条件は必ず書面(メール可)で確認する習慣をつけよう
・トラブル時は「フリーランス・トラブル110番」に相談できる
6. クレカ・住宅ローンは”辞める前”に作っておくのが鉄則
フリーランスになると避けて通れないのが「信用問題」です。
残念ながら、日本では会社員の方が”社会的信用”が高いとされるため、クレジットカードや住宅ローン、賃貸の審査が厳しくなります。
そのため、以下のような契約や申請は「会社を辞める前」に済ませておくのが鉄則です。
会社員のうちにやっておくべきことリスト
- クレジットカードの新規作成・増枠申請
- 住宅ローン・オートローンの仮審査申請
- 賃貸契約の更新 or 引っ越しの手続き
- スマホの分割払い・サブスクの長期契約
これをやっておくかどうかで、独立後の”身の回りの安心感”が段違いになります。
✅ ポイントまとめ
・会社員の信用を活かしておく
・辞めた後だとカードの審査に落ちることも
・特に「家」と「お金」まわりは退職前に整理
7. 月々の生活コストとキャッシュフローを把握
会社員と違って、フリーランスには毎月決まった収入が保証されていません。
だからこそ、まず最初にやるべきなのは「自分の生活コストとキャッシュフローの把握」です。
実際に見ておくべき項目
- 家賃、光熱費、通信費、保険料などの「固定費」
- 食費、交際費、趣味、サブスクなどの「変動費」
- 最低限必要な月額生活費
- 手元に残っている生活資金(何ヶ月耐えられるか)
理想は、「生活費6ヶ月分の貯金」があることですが、難しい場合は支出を徹底的に見直すだけでもOKです。
また、収入が入るタイミング(支払いサイト)と支出のタイミングのズレにも注意しましょう。
✅ ポイントまとめ
・まずは生活費の”見える化”からスタート
・フリーランスは「安定」より「耐える準備」が大事
・収支のテンプレはNotionやExcelでOK
8. 実績・スキルシートの整備【案件探しの準備】
フリーランスエンジニアとして最初の案件を獲得するには、まず「自分を知ってもらう材料」が必要です。
その代表が、以下の3点:
- スキルシート(職務経歴書+技術構成)
- ポートフォリオ(GitHub・Notion・ブログ等)
- 自己紹介文・希望条件(SNSやエージェント用)
スキルシートって何を書くの?
- 経歴(会社名・プロジェクト名)
- 開発環境・役割・技術スタック
- 得意な領域・実績の要約
- 稼働可能日・希望単価・働き方(週3・フルリモートなど)
テンプレを使っても良いですが、“相手が読みやすいか?”を意識して整理するのが大切です。
スキルシート提出は必須なので、ここがしっかりしていると、最初の提案スピードが段違いです。
✅ ポイントまとめ
・まずは「スキルの棚卸し」と「わかりやすい可視化」から
・シンプルなNotionやGoogle Docsでも十分
・1回作れば、他のエージェントや紹介にも使いまわせる
9. 営業・案件探しを始める【最初が大事】
スキルシートが整ったら、次はいよいよ営業活動=案件探しのフェーズです。
ここで重要なのは、「最初の1件」をどう獲得するか。これができれば、その後の流れが一気にラクになります。
案件獲得の主な方法はこの5つ
- フリーランスエージェントに登録(複数比較が基本)
- 友人・元同僚などの紹介
- Twitter(X)やブログでの発信・DM営業
- クラウドソーシング(ランサーズ・ココナラなど)
- コミュニティ・勉強会などのリアルつながり
特に初期は、フリーランスエージェントをうまく使うのが最短ルート。
いくつか登録しつつ、対応スピードやマージンの開示などで信頼できるところを選びましょう。
エージェント選びのポイント
エージェントは1社だけでなく、2〜3社を比較して選ぶのが基本です。以下のポイントをチェックしましょう。
- マージン(手数料)の透明性:マージン率を公開しているか
- 案件の種類・数:リモート案件や週3稼働の案件があるか
- 担当者の対応スピード:連絡が早く、こちらの希望を汲んでくれるか
- 契約周りのサポート:契約書の確認やトラブル時のフォローがあるか
✅ ポイントまとめ
・営業といっても、最初は”相談”でOK
・エージェントは必ず複数比較+相性で選ぶ
・案件は「人から来るもの」と考えて、発信や相談を恐れない
10. 自分の”働き方スタイル”を言語化しておく
フリーランスになると、「どう働きたいか」を自分で決められます。
でも逆に言えば、「希望が言語化できていないと、案件をうまく選べない」ということでもあります。
自分の希望条件を整理しよう
以下のような項目を、スプレッドやNotionなどで一度書き出しておくと超便利です:
- 稼働日数:週5?週3?副業?
- 稼働時間帯:10時〜18時?夜メイン?
- 働き方:フルリモート?ハイブリッド?出社OK?
- 報酬レンジ:最低希望単価/理想の単価
- 案件の分野:toC/toB、SaaS/受託など
面談時やエージェントとのやり取りでも、「希望がはっきりしている人」は提案が速くなりますし、案件のミスマッチも減らせます。
✅ ポイントまとめ
・”案件を選ぶため”にも、自分の軸を明確にしておく
・希望条件は定期的に見直すと◎
・「譲れるところ・譲れないところ」を整理しておこう
まとめ|”自由”は”自走”ができてこそ。でも、1人じゃなくていい
フリーランスという働き方は、自由です。
働く時間、場所、単価、スキルの方向性――すべてを自分で選べます。
でも、自由には責任がつきもの。だからこそ、「最初に何をどう整えるか」でその後の快適さが大きく変わります。
今回紹介した10のステップを、焦らず・一歩ずつ進めてみてください。
そして、「ちょっと不安だな」「誰かに相談したいな」と思ったときは、フリーランスエージェントやコミュニティを活用してみましょう。
フリーランスとして自走しながらも”ひとりじゃない”環境をつくることが、長く活躍し続ける秘訣です。